令和7年度
東北マウンテンガイドネットワーク 
第1回 スキルアップ研修会報告書 

研修指導者後藤千春 
記録者・報告者熊谷久美子



 研修名
「ロープワークの基礎と皆で考える研鑽会」 

  • 開 催 日 令和7年年4月6日(日) 
  • 開催場所 月山 ポレポレファーム 駐車場付近 
  • 参 加 者 8名(大滝・梅田・小山内・菊池・金田・中嶋・織山・熊谷) 
  • 行 程 09:00 集合~簡単にブリーフィング 12:00 講評、解散 
  • 実施報告 

 〇恒例でもある総会翌日の研修会として実施。新入会員2名ふくむ、8名の参加あり。双方向、ディスカッションでの研鑽会形式で交流。
昨年の研修でも感想にあった「ロープワークは忘れる」ことを前提で、会員の希望する内容で進行した。 

〇講師の後藤ガイドより「スピードは安全に直結する」ことを根幹に、簡便かつシンプルな方法を模索検証していきましょうと初めに説明があった。
加えて「ロープは面倒臭い、出したくない」といった感情が起きやすいことを踏まえて、めんどうくさがらずロープを使うことやスリングを使ったスピーディーで安全かつ簡易方式を会員同士で実践し検証しながら学んだ。

また東北の山域によっては汎用性の高い補助ロープ(8ミリ8m 7ミリ10mを使用)で、どのようなロープワークがどこまで可能かも検討しあった。 

沢渡渉時の
フィックスロープの張り方、
お客様の誘導方法の検討 

転倒時のすっぽ抜けをどう防ぐかで検討が過熱した。
股間にスリングを渡すことで重心が安定する、
バランスが取りやすい
という実感を伴った感想が聞かれた。 

お客様の立場で検証することで転倒しにくさについても気づきを得ることができた。 

フィックスロープの高さは「転倒時に容易に掴める高さ」も検討。 


簡易ショートロープの
考え方や実践、検証 

 シニア層クライアント向けで検討。 

ザックにスリングをセッティングする場合の方法やスリング種類、危険性について検討。 

スタンディングアックスビレイ
残雪期の引き上げ
引き下ろし

雪質とアックス(アンカー)の関係性、位置の違いやロープラインを 掘るなどの細かな安全に関する指導あり。 

ミュールノット、テレインなどの手技も確認しあう。 

参加者感想(着信順) 

▶中嶋あきみ 

前日の総会でも自分のやりたい研修について、発言する機会があった。 
今回の一番の気づきは、当たり前だけれども、いつもできていることしか、有事の時にもできない、その時の自分が持っているツール、自分の知識を最大限活用するしかない、です。 

今回の後藤さんの研修は、型に囚われがちな自分に気づかせていただきました。
ショートロープもやり方は、一つではなく、スピードや状況にあわせて今の自分にできることで対応すればいいのだと感じました。 
今の自分にもできることがあるはず、と思うことができました。
また、システム構築の最終形はなく、常に進化させることも大事だと感じました。 

研修に参加された皆さんの知恵からの渡渉のシステムのスピードアップと安全性を補完したり、と議論するのも楽しかったです。
また、常に疑問、探究心、柔軟性を持つことの重要性も教えていただきました。 

なにより、やはり体を動かして覚える、が一番大事ですね。引き続き研鑽を続けたいと思います。スケジュールをできるだけ早めに把握し、たくさん研修に参加させていただきたいです。 

研修を計画してくださる皆さま、研修の講師になってくださるみなさまに感謝します。今回もありがとうございました。 


▶織山英行 

新入会員として初めて参加させていただきました。 

まず最初は何をやるのかと思っていましたが、始まったのは教科書には載っていない、皆で検証しながら、意見を出し合いながらの徒渉方法についての検討でした。

ハーネスを付けることが定説、1番安全なところですが、10名程のお客さんを安全かつ更に素早く渡らせる方法についての意見交換と実践。
話し合いながら、手を動かしながら、徐々に形が定まっていき、最終的にはカラビナ2つとスリング3本でこれなら簡潔にシステムを組んで、安定してお客様を渡らせることができるのではないか、という形にまでなりました。 

何かを教わって終わりではなく、日進月歩の技術が生まれる現場に立ち会えて、思考の行程そのものがとても参考になりました。皆さんの良いところはドンドン取り入れていきたいと思います。 

また、その後のショートロープそれからスタカットビレイ、最後はスタンディングアックスビレイでの引き上げ、引き下ろしを勉強させていただきました。やはり、実践に勝るトレーニングはないと実感しました。ロープワークは日々練習しているものの、2人いなければできないことは、全く慣れておらず頭が混乱してしまい不器用な動きになってしまいました。今後は、学習・

体験したことや講師、TMGNメンバーの方々の助言を重ね合わせ、復習・実践していき自分のものとして、身に付くように頑張りたいと思います。 

その他、皆さんとの新たな繋がりや、雑談の中でも他では得られないものを多く学ばさせていただきました。次回も是非参加したいです。ありがとうございました。 


▶小山内春人 

今年も貴重なお時間を作っていただきありがとうございました。 

実際の現場ですぐに活用できるシンプルな内容と過去の研修からの振り返りによる、より正解を求めそれぞれの参加者から意見を出し合って検証する今回の研修は大変意味のあるものであったと感じました。 

特にロープワークはほとんど現場で使うことがないのですが、昨年鳥海山でのツアーの際に高齢の方が降りで体力不足から自重を支えることが難しくなった際に研修で習った事を使って安全に速く下山することができた経験もありましたので、このような繰り返しとブラッシュアップはとても大切だと実感しています。 

機会があれば参加していきたいと思いますので今年度もよろしくお願い申し上げます。 

▶菊池文子 

ロープワーク研修、新しくガイドになった方には、とても良い講習でした。 
このような基礎の積み重ねが大事だと思いますので、これからも続けてください。 

来年度は総会の前に講習→風呂→総会→飲み会とか、、、、 いずれにしろ、翌日だと皆さん帰ってしまうので、前がいいかなあと思いました。 


▶金田潤一 

総会、懇親会の雰囲気が良かった。スキルアツブ研修に向けて、特に固定、ショートローブの練習を重ねたので、これで万全と期待して参加した。実際の研修では、雪壁登りとロープを張っての徒渉が行われた。雪壁の時、ロープの確保で慌ててしまい、ロープを踏んで注意された。基本さえ忘れていたとは情けない。次回の新人入会研修生に参加してスキルアップを目指したい。 


▶梅田正弘 

今回は実際の山行で現れるであろうシチュエーションを想定しその時どのような選択肢が正解により近いのか検証する時間となった。特に渡渉における固定ロープに対するクライアントのビレイシステムについては、参加者から数多くの意見や創意工夫が提案され今回の研修の最終形が一応出来上がったと思われた。 

短い時間であったがこのような討議を繰り返すことにより安全にガイディングが行われ、会員同士の協力体制へ繋がっていくことが感じられた。 


▶大滝勝 

今回のロープワークで講師の後藤さんから学んだのは「速く、(顧客を)待たせず」ということです。 

渡渉を想定したロープワークでは、参加者皆さんから幾つもの意見・アイデアが出るので、やはり多人数での研修は勉強になると感じます。後藤さんからの「これ(ロープの操作)を指導者役として人に説明できるように」というアドバイスは、私自身に刺さるものがありました。刺さるというのは、上手くできなかったということに尽きます。 

ロープを引くという動作ひとつとっても、理解できるように動作をわかりやすく言葉にする難しさを痛感しました。 

講師役の後藤さん、研修担当の熊谷さんにはロープワーク研鑽の機会をいただき、ありがとうございました。参加された皆様、大変お疲れ様でした。 

今回参加できなかった方も、ぜひ会の仲間達との研修参加をご検討下さい。